
高度産業科学技術研究所長の渡邊健夫教授は、平成28年5月26日に大阪大学中之島センターで、大阪ニュークリアサイエンス協会から、EUVレジスト開発の研究業績に対して大阪ニュークリアサイエンス協会賞を受賞しました。
IT産業を支えるスマートフォン等の携帯情報端末、Internet of Things (IoT)、ウェアラブル端末等は、半導体電子デバイス技術の多大なる進歩によるところが大きく、その進歩に欠かせないのが半導体微細加工技術です。半導体国際ロードマップによると極端紫外線リソグラフィ(EUVL)技術は、7 nm世代の半導体微細量産に使用されます。この中で、渡邊健夫氏は、兵庫県立大学で20年に渡り、国家プロジェクトおよび企業との共同研究でEUVL技術開発の携わり、多くの有益な成果を創出してきました。
特に、EUVL技術課題であるEUV光源、EUVレジスト、EUVマスク開発の中でも重要なEUVレジスト開発に力を注ぎ、高解像、高感度、低Line width roughness(LWR)、並びに低アウトガスを有するレジストの開発を進めて来ました。兵庫県立大学高度産業科学技術研究所のニュースバル放射光施設では、これらの課題を解決することを目的に以下に示す5つの項目について、世界でOnly Oneの装置を開発するとともに、これらの装置を用いてレジスト材料開発・評価を進め、EUV用レジスト開発に大きく貢献し、産業界を牽引してきました。
① EUVL用大面積露光装置の開発
② EUVレジスト用アウトガス評価装置の開発
③ 酸発生剤内包型EUV用化学増幅系レジストの開発
④ 10 nm級EUVレジスト評価用EUV干渉露光装置の開発
⑤ 軟X線吸収分光法による高感度EUVレジストの開発を目的とした反応解析手法の開発